離断性骨軟骨炎
外側型野球肘である離断性骨軟骨炎とは、軟骨やその下の骨が壊死し、軟骨及び軟骨下骨が剥がれる(遊離体・関節ネズミ)病気です。この離断性骨軟骨炎が上腕骨小頭部に起こるものを上腕骨小頭離断性骨軟骨炎と呼びます。
野球選手をはじめその他のスポーツを行う選手にも起こります。
発生率は2~3%といわれています。
野球では、投球や打撃による繰り返し発生する、病巣へのストレスにより病気が進行し、壊死した組織が元に戻らなくなります。この状態で投球や打撃を繰り返すと、投球や打撃はもちろん、ロッキング現象など日常生活をも困難にさせてしまう可能性がある病気です。
原因
明確な原因はまだ解明されておらず、仮説がいくつかあります。
・炎症性反応説 ・純外傷性説
・外傷性栄養障害説 ・持続外傷説
・血行障害説 ・内分泌異常説
・遺伝性体質素因説 があります。
症状
本症は、痛みのない場合がほとんどで、発症していることに気づきにくいです。肘の外側に違和感がある、痛みがあると感じるのは症状がどんどん進んでいる時期になります。外側型野球肘である離断性骨軟骨炎は「癌」と同じような症状の進行をたどることから通称野球肘の癌と言われています。
病巣の増悪過程には初期(透亮期)、中期(分離期)終末期(遊離期)に分かれます。
初期(小5~中1ごろ)では病巣部に骨吸収が生じ、骨量が低下している状態が特徴で、この時期に発見して適切な対応をすることが重要です。痛みや違和感を訴える選手もいますが、多くは痛みを訴えません。
中期(小6~中2ごろ)では、病巣表面に軟骨仮骨版が出現します。
病巣へ栄養を送る血管は、骨端線が閉じていないほうが血流量が豊富で、閉じた場合は血流量低下し、治りづらくなると言われています。
つまり症状を悪化させないことで、修復する可能性を維持するということです。症状を悪化させないため、投球、打撃、腕を使うスポーツ活動を禁止することが必要です。
加えて、効果を発揮している骨折治療超音波治療器などの物理療法を行うことが有効です。
終末期(中1~高校生ごろ)では、下骨表層の骨が母床から遊離しておりこれは元に戻りません。この遊離期では病巣だけではなく関節の様々な部分に変形をもたらし、最終的に関節変形となり、肘が曲がらない、伸びない、などの症状が出現し、日常生活に影響を及ぼします。
検査
MRI、エコーなどの検査が有用で、状態によりX線やCT検査でも評価が可能です。
治療
患部へのストレスを掛けさせないために、患部周辺の筋スパズムを除去するためマッサージやストレッチを行い、物理療法による組織の回復、血行促進させることが有効です。
重要になるのは、適切な経過観察と状態の管理のもと、患部へのストレスを軽減させるためのフォームの習得、動作機能の向上が必要になります。