胸郭出口症候群


2020/4/20

胸郭出口症候群

首には神経や血管、筋肉など多くの組織が密集しています。腕を支配する神経や血管は、胸郭出口(きょうかくでぐち)と呼ばれる部分を通って、首から腕に向かって走行しています。胸郭出口を通過する重要な神経として腕神経叢(わんしんけいそう)があります。また、主要血管として鎖骨下動脈や鎖骨下静脈があります。

 

(病態)

 胸郭出口症候群とは、上腕や肩の運動や感覚に深くかかわる神経や動脈が障害を受け、肩、腕、手のしびれや痛み、手の動かしにくさなどの症状が現れます。肩こりとして自覚されることもあります。

 

胸郭出口症候群はなで肩の女性に多くみられ、トレーニングがお好きな男性に発症するタイプもあります。アスリートですと、野球の投球動作、テニスのサーブ、バレーのアタック、水泳選手などオーバーハンドスポーツや腕を回したりするアスリートに多くみられます。

発症には日常生活に関連した動作にも関与していることから、規則正しい健康的な生活スタイルを確立することが重要といわれています。

 

胸郭出口には体の構造状狭い空間が存在しており、こうした場所で神経や動脈が圧迫されることがあります。神経や動脈が胸郭出口で圧迫されることで、胸郭出口症候群が発症します。胸郭出口の狭窄部位としては

  • 前斜角筋と中斜角筋と呼ばれる首の筋肉で構成される部分
  • 鎖骨と肋骨の間
  • 胸の筋肉である小胸筋と肩甲骨との間に構成される部分

こうした狭窄部位で神経や動脈が圧迫を受ける可能性が高く、それぞれ斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群といった名称がつけられており、これらを総称して胸郭出口症候群といいます。

神経や血管が物理的な圧迫を受けて生じる胸郭出口症候群ですが、なかには、頚肋(けいろく)と呼ばれる先天的な肋骨の遺残物が原因となって発症することもあります。頚肋が存在すると、腕神経叢や鎖骨下動脈がより一層圧迫を受けやすい状況になるため、胸郭出口症候群が発症します。

胸郭出口症候群は長時間、悪い姿勢で座っていたり、睡眠不足やストレスなどが重なったりすると発症しやすくなるとも考えられています。また、なで肩だったり、重いものを持つ習慣も発症に関連します。

 
(症状)

胸郭出口症候群は、腕や手を支配する神経や血管が圧迫されることで発症するため、神経症状として首や肩、腕にしびれやちくちくする感覚、刺すような痛みを覚えることがあります。

神経症状はさらに手先や体幹にもみられることがあります。神経障害が持続すると、筋力の低下もあらわれ、それに伴い運動機能にも影響が生じます。具体的には、手の握力の低下、巧緻性(こうちせい)の低下(指先が不器用になる)などです。

血管の症状としては、血行の悪化から皮膚が白くなったり、青紫色になったりします。血行障害で痛みや感覚障害が誘発されることもあります。

(治療)
 
検査としては、問診やテスト法、MRI検査、 超音波検査などが有効です。
手技療法を行い症状の原因となる筋肉を緩め、患部にかかるストレスを減らすことも大切です。
不良姿勢も原因の一つになるので姿勢及び生活習慣の改善、ストレッチ、エクササイズ等運動療法を行い筋肉や体の機能向上を図ります。
 
また、胸郭出口症候群では、胎生期の異残物である頚肋に関連して病気が発症していることもあります。頚肋の有無を確認するために、頚部のレントゲン写真を行うこともあります。また、頚椎疾患との鑑別のために頚椎のMRI撮影を行うことがあります。

胸郭出口における神経や血管に対しての物理的な圧迫が強い場合には、手術療法を選択することもあります。筋肉の腱を切除したり、肋骨の一部を切除したりすることで、物理的な空間を広げます。頚肋が原因となっている場合には、頚肋を切除することもあります。

 

当院では、西洋医学や東洋医学など多角的に症状がどこからきているのか全身見立てで、症状改善を図ります!

筋緊張を和らげるため、手技療法を加えて、患部のみにならず様々な方向から全身的に体をよくします。

また、超音波、ハイボルテージ等物理療法を行い、筋緊張の緩和や神経症状を抑えるなど、個々の症状に合わせ早期回復を目指します。

その後運動療法として再発防止、体の機能、使い方の向上のため、セルフストレッチ、ストレッチポール(代用品可)を用いた胸郭のストレッチ等運動指導を行います!

 

 

 

 



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