上腕骨外側・内側上顆炎と滑膜ひだ障害


2020/6/10

上腕骨外側・内側上顆炎と滑膜ひだ障害

上腕骨外側・内側上顆炎と滑膜ひだ障害

 

病態

外側・内側上顆炎は肘関節腱付着部炎の総称であり、滑膜ひだ障害は同様の症状呈すため、区別することが必要です。

外側・内側上顆炎は成長期に生じるものと成人にみられるものがあり、成因が異なります。

成長期にみられる外側・内側上顆炎は、小学校高学年~中学生にみられ、外側より内側上顆炎のほうが、疼痛が強く、筋の成長が追い付いてくると疼痛も消失することがあります。

成人にみられる外側・内側上顆炎は、テニスのバックハンドや、ゴルフにより疼痛をきたすので外側上顆炎をテニス肘、内側上顆炎をゴルフ肘と呼びます。

テニスなどのラケットスポーツではインパクトの衝撃に対して前腕伸筋群が収縮してラケットを保持します。この時働く伸張力が、起始部に過大なストレスを生じ、慢性炎症と変形をきたします。

外側上顆付近の障害を広義の外側上顆炎とすれば、腱性の障害の他に滑膜ひだ障害とゆうものもあり、区別されずに診断されることが多くあります。肘関節後方や内側にもみられますが圧倒的に外側が多いです。

肘関節滑膜ひだは、腕頭関節または後腕尺関節において肘関節屈曲伸展時に滑膜ひだが陥入するのを特徴とすし、陥入から解除されるときの疼痛とともに弾発をきたすことがあるので弾発肘ともいわれますが、弾発がなく、疼痛が続くもののほうが多いとされています。

関節包の肥厚や輪状靭帯の肥厚とも記載されており、認識が低く定義が不明確です。変形性肘関節症の合併も多く、この場合は、骨棘による慢性の刺激が原因と考えられています。

 

診断

外側上顆炎では、症状が強くなると日常ではタオルを絞るときに肘関節外側痛を訴え、前腕回外伸筋群の肘関節外側上顆への付着部の圧痛を認め、特に短橈側手根伸筋の圧痛が多いです。

手関節を背屈させ抵抗を加えると疼痛をきたすチェアーテストや中指を伸展させて抵抗を加え疼痛を誘発させる徒手的検査があります。

 

内側上顆炎では、前腕屈曲回内筋群の内側上顆付着部の圧痛が特徴で、前腕回外位で手関節を伸展させると、疼痛を誘発します。

 

滑膜ひだ障害では、肘伸展時の引っ掛かりと疼痛を主訴とし、前腕回内動作が引っ掛かりを増悪させます。

滑膜ひだ障害は圧痛部が関節裂隙にあり、重症になると弾発現象を引き起こし、ひだの部位には圧痛と腫脹をきたしており、肘を屈伸回内外させながら注意深く触診するとひだを触知することができます。

 

治療

外側・内側上顆炎

安静にし、単に繰り返すストレッチだけではなく、持久力の低下や柔軟性の低下も一因と考えられ、筋力訓練やストレッチが保存療法として効果的です。テニス肘バンドなどのサポーターやテーピングも有効です。数か月の保存療法に全く効果が見られない場合には、腱性部の変性が強いと考えられ手術が必要となることがあります。

 

肘関節滑膜ひだ障害

安静にし、肘周辺の筋緊張を取り除くなど保存療法により軽快しますが、スポーツ活動の再開により再発をみることが多く、保存療法が無効な場合は手術の適応となります。




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