手指側副靭帯損傷


2020/6/12

手指側副靭帯損傷

手指側副靭帯損傷

 

手指側副靭帯損傷のなかで、第1指MP関節側副靭帯損傷と第1指以外のPIP関節側副靭帯損傷は、日常スポーツ現場で遭遇する損傷で、第1指MP関節側副靭帯損傷はスキーの転倒時に受傷することが多く、スキーヤー母指と呼ばれています。

職業性による障害ではゲームキーパー母指と呼ばれています。

第1指MP関節の安定性はピンチ動作に重要な役割を担っていて、その支持組織が側副靭帯であり、ピンチ動作で疼痛や不安定性を残さない治療することが必要になります。

 

発生機序

第1指MP関節側副靭帯損傷は、スキーの転倒時ストックのストラップに引っかかったり、バレーやバスケットなどの球技中に外転が強制されて受傷することが多く、発生頻度は尺側がたかいです。

第1指以外のPIP関節側副靭帯損傷は、バレーボール、バスケットボール、コンタクトスポーツ時に受傷することが多く、発生頻度は橈側に多く発生します。

 

症状

損傷部位に疼痛、圧痛、腫脹、皮下出血班、側方動揺性を認めますがが、臨床では不全断裂か完全断裂かを判断することは難しく、完全断裂では腫脹や皮下出血班が著明で、ストレスを加えると不安定感や疼痛が強く、橈側や尺側に偏位している場合もあります。

その場合、靭帯の断片が反転して母指内転筋腱膜の下に挟まるステナー損傷を起こしていることが多く、触診で側副靭帯の断片を触れることもあります。

不全断裂では、腫脹や皮下出血班、疼痛も軽度で、ストレスをくわえても不安定感はわずかです。

関節掌側に圧痛があり、皮下出血班が掌側に限局している場合は掌側板の断裂も疑われます。

 

治療

不全断裂は原則、保存療法を行うが、完全断裂で特にステナー損傷は観血療法を選択することが推奨されます。しかし、完全断裂断裂でも高齢者や手指を使うことの少ない人の場合は、保存療法による治療も可能となります。

MP関節側副靭帯の断裂の場合、MP関節伸展位で、アルミ副子などで3週間程度固定し、PIP関節側副靭帯損傷の場合は、PIP関節伸展位で3週間程度固定を行います。

固定除去後は、可動域訓練を開始し、母指球が萎縮したものは屈曲、伸展、ピンチ力の筋力訓練を行います。スポーツ活動への復帰は2ヶ月以降が原則とされます。保存療法の場合では、関節の不安定症や変形が残存することがあり、それに応じてリハビリや動作訓練の仕方を考慮します。




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